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会長挨拶  

組織・活動  

会則  

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高速信号処理応用技術学会について

デジタル信号処理(digital signal processing)およびデジタル信号処理プロセッサ( digital signal processor) は,ともに略してDSPといいます. これより,高速信号処理アルゴリズムをDSPツールで実現することを,”DSPをDSPで実現する”という人もいます. この実現こそが本フォーラムの目的の一つです.

電子技術はアナログ回路的技術から,デジタル信号処理的技術へと重心が移りつつあります. ハーバードアーキテクチャ(プログラムバスと複数のデ-タバスに分離し,複数メモリ構造を可能とする)を有するDSPの出現により, 従来技術の高性能化だけに止まらず,これまで実現不可能と考えられていた技術が実現されているように, デジタル信号処理応用技術は大きく展開する可能性を秘めており,さらなるニーズを産出することも期待されます.

DSPは,その高速処理性能の故に,携帯電話の音声認識,医療の画像処理,電源回路のデジタル処理,機械系・回転系の高機能制御処理 などへの実用に見られますように,その応用範囲を急速に拡大しつつあります.その高度のパイプライン化や,各種演算器の強化に伴い, DSPを多数結合した高機能マルチDSPへと展開し,スーパコンピュータに匹敵するリアルタイム処理やスーパーリアルタイム処理を実現する までになりました.

DSPは高い信号処理能力を潜在的に持っています.この潜在力を最大限に引き出すには,プロセッサに習熟したソフトウエア開発が 基本です.各種レジスタやデータ・プログラムのメモリ構造などのハードウェア構成を知り,また,前処理を含めた最適化プログラムを 実現するなど,いわゆるコンピュータアーキテクチャとして理解することが大切です.

また,命令ステップ数の最少化や高並列化など,使い勝手のよいDSPシステムの実現にはプログラム開発環境の改善が望まれます. このため,C言語等の高級言語によるコンパイラやマルチDSP用OS,さらには,大規模な並列処理の調停のための支援ソフト等の 研究・開発が急務です.

大規模系の高速処理のために,並列処理を実現するマルチプロセッサ化が必須であります.並列化により必ずしもプロセッサ数に 比例して演算速度が向上するとは限りません.データ転送時間,待ち時間などのオーバヘッドが相対的に増大するからです. 高速性を確保しつつ効率的な演算を実現するという,ハードウェア・ソフトウェア両面からの並列システム実現の研究も極めて重要 といえるでしょう.

マルチプロセッサシステムの開発においては,ヘテロジーニアス化も重要な課題です.すなわち,異種のDSPや,DSPとRISCなどを 用いたマルチ化により,それらの特徴を活かせば,より高速な処理システムとなります.

以上述べましたように,本学会は,産業界から乖離した理論,すなわち理論のための理論ではなく,有益な理論をいかに現実の ハードウェア・ソフトウェアにしていくかということが重要であると考えます.

また,本学会(高速信号処理)を通して,経済界の活性化を図れるものと確信しております.このような背景をもとに, 大学や研究機関,研究所等で研究される高速信号処理技術や発想を産業界に反映させ,応用技術を大きく展開していくことを 目的としてこの学会を発足します.

本学会の目指すところは,以下のとおりであります。

  • 産業界から乖離した理論ではなく,有益な理論を現実のハードウェアやソフトウェアに実現していく.
  • 理論を軽視せず,有益な理論paperはどしどし採択する.しかし理論のための理論は避けたい.
  • この学会を通して産業界を活発化させる.高速信号処理はその要素を持っている.
  • 当初より,アメリカICSPATやヨーロッパのMechatronics Forumなどと連携し,国際的活動をすすめる.
本学会の活動,その関連する分野

高速プロセッサはDSPを始めとし,多種多様の汎用ASIC,カスタムLSIがあげられる.しかし,国際競争や普及度,変更性に配慮した場合,無秩序に採用される訳ではない.いずれ,本学会でも議論されるべきであろうが,その採用に際して条件を列記すると,

  • (1)汎用高速プロセッサ(プログラムモードが主)かカスタム(ハード高速が主)か
  • (2)メーカーの選択などプロセッサの選択
  • (3)ビット長(32,24,16ビット),浮動小数点,固定小数点の選び方
  • (4)並列命令,先読みとアルゴリズムとの整合性,処理速度
  • (5)プロセッサ数,結合トポロジーと処理速度
  • (6)内部メモリ容量,アーキテクチャと処理内容の整合
  • (7)消費電力,駆動電圧の妥当性
  • (8)価格

等があげられる.特に,これらの選択により目的の効果を得るために,

  • (9)プログラムアルゴリズムの構築(開発)とその整合
  • (10)ディジタル用制御・処理論理の構築

を考えることも必要な条件である.
これらの諸条件の決定を一機関のみで検討することは利用目的が複雑化しているだけに困難と云わざるを得ない.そこで,本学会で議論検討されるであろう分野の概略を紹介し,会員及び今後会への参加を考える方々へのガイドラインとする.

なお,今後信号処理理論を始めとし,下記の多くの分野以外の分野が会員や関連機関から提案されることを付記する.


A. 計測分野

  • 1 高速計測
     計測すべき物理量は,センサによりA/Dコンバータを介し,I/Oポートからプロセッサ内にとりこまれ,必要なプログラム処理の後,メモリに保存することができる.高速計測を行うには,取り込みからメモリ保存までの時間を如何に短くすることができるかである.一基のプロセッサでの処理に限界があれば,複数のプロセッサで対処しなければならない.すなわち,I/Oポート・メモリを含むプロセッサのアーキテクチャと高速プログラミング技術,マルチプロセッサ化など,会員の提案が期待される.
  • 2 計測器
     計測器は,センサ部・増幅部・比較部・表示用処理部に分けられていたが,このうち,センサ・増幅部はアナログ処理を必要とするが,それ以外は高速処理可能なプロセッサに置き換えられつつある. 多くの場合,計測された値は,作表,グラフ化,しきい値・基準値との比較判断(製品としての合否),調整,記録などに使われ,処理については使用者に負わされていた.ディジタル化およびパソコン系との結合は,これらの二次・三次処理をプログラムにより自動化できるばかりでなく,複数の計測と診断等のエキスパートシステムにも適用できるという長所を持つ.
  • 3 計測と情報の伝送
     1,2による計測値というデータおよび情報は,例えば,DSPなどのプロセッサに内蔵されるI/Oポート,通信ポートにより,必要とするほかの場所に伝送移動できる.特にネットワーク化が進む現状においては,重要な将来展開と予想される.

B. 制御分野

  • 1 制御回路のディジタル化
    多くの電気・電子回路は,入力信号を変形合成し,目的の出力信号を得るために構成されている.フィードバック制御を含くまないオープンループによる信号処理もあるが,多くは,一重・二重・三重のフィードバックグループをもつ. この制御機能は,高速プロセッサによっても,あるときは理論的に,またある時は試行錯誤的にプログラムという手段によって直接に実回路中で実現できる.特に,DSPが登場して以来,アナログに迫る高速処理が可能となっていることから,多くの分野で,制御部のDSP化が進められている.
  • 2 制御システムディジタル化
    電源・ドライバ(AVR)等に代表されるシステムは,負荷変動に適合して,ある一定の機能を維持する必要がある.例えばモータの超低速回転や発電機の電圧・周波数の維持と無効電力の監視等があげられる.これらの例では,システムの外部で独立して生ずる変動に追従し,システム内部を適合させるという制御方法となり,その制御情報も複雑化する.ファジィ,ニューロによる制御もその具体的例であろう.このような制御は,もはやDSP等プログラム化以外には実現できない.プログラムによる制御は,理論式はもちろん,細部に制御特化される cace by case の作業やその変更性に大きな効果をもつ.
  • 3 人工知能,ロボット,機械制御などのリアルタイム制御
    センサからの計測情報や制御が複雑化し,その反応もリアルタイム化が要求されるようなニューロ・ファジィに代表されるような人工知能・ロボット制御・機械制御を始めとする大容量制御では,煩雑な作業となるため,当然アナログ量で制御することは不可能である.自ずとDSPのように高速処理可能なプロセッサ化(マルチDSP)の構築と,その機能分配が必要となる.マルチ化にに対する検討は広い分野で行われており,目的の差を越えて一同に会し議論されるべきであろう.

C. 信号処理

  • 1 音声・画像信号処理
     音声信号・画像信号処理は時系列データの代表として,古くからのセオレティカルな信号処理のテーマであったが,現在では,マルチメディアの主役の位置を占める.したがって,従来の標本化,認識・識別処理に加えて,符号化・圧縮技術の確立が重要となり,そのアルゴリズム開発,標準化が進められている.結果として,大量の数値演算に加えて,その高速処理が要求されている.MMXアーキテクチャ等の特化されたプロセッサによる高速処理実現へのアプローチがあるが,大規模処理に於いてはそれほどの効果が得られていないのが現状であり,信号処理アルゴリズム,プロセッサについての十分な議論が必要である.
  • 2 インターネット,通信(コミュニケーション)技術
     現在では,インターネットを中心とする,端末をネットワーク化する国際通信インフラが急成長している.これらの通信技術の基本は通信方式であり,目的とするところは品質と高速性である.具体的には高速信号処理を基礎として,ATM方式に代表される技術,光通信網,衛星通信,移動通信によるインフラ等の導入が,インターネットにおけるプロトコル,ルータ,ネットワーク拡大化,高性能・高機能化に有効であると考える.

D. 支援ツール

  • 1 高速プロセッサ(DSPを中心とする)のアーキテクチャ論
    高速プロセッサは,プログラムの先読みという行為により種々のパイプライン処理や,最適処理が実現されている.特に,DSPを中心としたプロセッサは積と和という演算器をもち,これによるパイプライン化が特徴である.さらに,プログラムのパイプライン化を円滑に行わせるために,データメモリが独立し,データバスもプログラムバスと独立している.いわゆるハーバードアーキテクチャである.基本的な構造は各種DSPで共通ではあるが,それぞれ特異性があり,プログラムに大きく反映され,その利用性も異なる.
  • 2 Cコンパイラ
    高速処理用のプロセッサの多くは,その普及度,アーキテクチャからアセンブラプログラミングを行うことが多い.特に,DSPはアセンブラがプログラムの主体となっている.しかし,高級言語に慣れた一般ユーザは,アセンブラ記述を苦手とし,それが故にDSPの利用を敬遠しがちである.最近では,DSPメーカーから専用のCコンパイラが発売されているが,十分な支援ソフトになっていない.一方,メーカ供給のCコンパイラの欠点を是正した独自のコンパイラの作成を行うグループもある.
  • 3 マルチプロセッサ
    処理の量や速度によっては,一基のプロセッサでは目的を果たすことができない場合がある.この場合,複数のプロセッサの導入を行わなければならない.一般的には結合のし易さから,共有メモリバス方式が採用されるが,処理の内容はSIMDであることが好ましい.しかし,この場合でも各構成プロセッサと共有メモリとの会話のバス競合が生じ,ルータ,アービタ調停回路もしくはプラットホームの存在が必要となる.一方MIMDのように処理内容がプロセッサ間のデータの交換を頻繁に行う必要がある場合,むしろ,ハイパーキューブ結合が妥当となる.このように,マルチ化を行うには,結合トポロジーや,クラスタ管理さらには,各プロセッサ中のプログラム・データ管理のためのスケジューラーをも必要とする.

E. 教育

  • 1 カリキュラム
    通常多くの大学が信号処理,若しくはディジタル信号処理という名称でカリキュラムが組まれている.2つの科目の中では主にディジタルフィルタを例として,数式化された信号処理過程(アルゴリズム)の実現方法や,各種アルゴリズムの紹介がなされている.一方,プロセッサであるDSPも信号処理を実現するプロセッサとして学生に伝達されているため,時としてハードのみによる信号処理とプログラムによる信号処理とが混乱し理解されがちである.プロセッサのアーキテクチャとプログラムとの関連を正しく学生に理解させるための新科目の議論がなされるべきであろう.
  • 2 学生実験
    前述のように,計測,制御,信号処理,さらにはアーキテクチャ論に,高速プロセッサ(DSP)の導入が必要となっており,従来のアナログ技術と比べて,その特徴を学生実験として簡単な作業内容を例に理解する必要があろう.学生実験の取り上げ方は,テーマや,方法,設備さらには,教科との関連により学校間で異なることが予想されるが,ただしい高速処理の知識や技術を与えるための議論となろう.
分野
  • 航空,自動車,ロボット,モータ制御などのメカトロニクス
  • DSPアーキテクチャ,プラットホーム・ファームウェア設計,FPGA,PLD,VLSIアーキテクチャ,並列処理技術,高速アルゴリズム,マルチDSPシステム,開発支援ソフトウェアなどのDSPハードウェア・ソフトウェア技術
  • 通信,データ通信,パソコン,データ収集システム,オーディオ,画像処理・画像圧縮,音声処理・認識 などのマルチメディア
  • デジタルフィルタ,時間−周波数信号処理,ウェーブレット,ニューラルネットワーク,ファジィなどの情報処理
  • レーダー,雑音制御,高調波・歪み波制御などのEMC技術,診断支援システム,バイオメディカルなどの医療技術
  • 原子力,気象などの大規模シミュレーション,土木・建築計測技術,構造解析技術,教育技術
  • その他

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